箱とマーマレード

うたプリファンブログです。愛と感想と考察を書きます。

羅小黒戦記 感想 ネタバレあり

羅小黒戦記(ろしゃおへいせんき)を見てきた。

うたプリの二次創作者がツイッターでオススメしていたのが気になって観に行くことにした。

最後にすっと一筋涙が出るような結末で素敵だった。

 

ストーリー

開発によって森を追われた黒猫の妖精シャオヘイは、島に隠れて暮らす妖精フーシーたちと出会いやっと居場所を見つけたと思う。しかしそこに襲撃してきた人間のムゲンとの戦闘でフーシーたちと離れ離れになる。

ムゲンはシャオヘイを、妖精たちが暮らす館に連れて行くという。反発するシャオヘイだったが、ムゲンと共に島を脱出する船旅に出て、金属を操る術の使い方を教えてもらううちに、悪いやつではないのかもしれないと思い始める。

館は人間の街の中にある。シャオヘイは人間と妖精が共存する姿を見て驚く。そんな中、シャオヘイとムゲンは見知らぬ妖精に襲撃される。そしてこの妖精はフーシーたちの仲間だった。シャオヘイはフーシーたちに誘拐される。

フーシーの目的は、シャオヘイの隠れた才能である空間を操る術を利用し、人間のいない妖精だけの楽園をつくることだった。ムゲンと過ごして人間たちとも触れ合ってきたシャオヘイは、人間に復讐することに疑問を唱えた。フーシーは、シャオヘイの命が危うくなることを知りながら、シャオヘイの能力を吸い取り、空間を操る術を我が物にする。

フーシーが空間を操り、街を取り込んだ。空間の中では空間の主が全てを思いのままにできる。しかしムゲンはその空間の中に入り、フーシーと闘う。フーシーがムゲンに木の根を突き刺そうとしたその時、シャオヘイが目を覚まし、ムゲンを助ける。この空間の本当の主であるシャオヘイは、ムゲンと共にフーシーを倒す。

元々この地にはフーシーの故郷があった。緑豊かな故郷は開発によって失われ、フーシーはここを離れたのだった。敗北を悟ったフーシーは、この地からもう離れたくないと言い、自らを大きな樹に変えた。

シャオヘイは、たくさんの妖精が暮らす楽園のような館に着いたが、ムゲンとは暮らせないと知る。シャオヘイは、ムゲンを追いかけ、"師匠"のそばにいたいと言う。

妖精と人間の共存

妖精と人間の共存が大きなテーマ。作中には、人間との共存をのぞみ、人間社会と協力して暮らしていくために働いている妖精たちが出てくる。ただし彼らも全員が人間を気に入っているわけではなかった。人間に興味を持ってスマートフォンを使いこなすシュイ、人間は嫌いだったと語るキュウ爺、人間であるムゲンとは距離を置いて座るほかの執行役、人間に対する思いは様々だった。そして、妖精サイドにつく人間である館長は、フーシーの襲撃によって大きく破壊された街を見ながら、「これから忙しくなる。一度築いた信頼関係も、壊すのは簡単だ」ということを言っていたのが印象的だった。この世界の人間と妖精の共存には、一筋縄ではいかない苦労があったことが察せられる。

一方、フーシーのように人間を憎み、フーシーの計画に協力する妖精も出てくる。彼らはフーシー同様故郷を追われた描写があったりする。しかし、誘拐したシャオヘイから能力を吸い取るシーンは、フーシーを止めようとするロジュ、ロジュを止めるシューファイ、悲しそうな顔をするテンフー、厳しい顔のままの他の妖精、と、反応は様々だった。

この妖精たちの考え方の多様さが描写されていたのが非常に良かった。どのセリフ、どの妖精にも物語と葛藤を感じられて、キャラクターに生を与えていたように思う。特に、大樹になったフーシーを見た執行役が言ったセリフが印象的だった。あの諦念すら感じさせるセリフは、妖精内での葛藤が色濃く出ていて非常に切なかった。

 

ムゲンとシャオヘイの旅

そして、ずっとひとりぼっちで人間を憎み暮らしていたシャオヘイが、一方的に諭されるのではなく、様々な人間や妖精たちの考えに触れた上で自分の立場を決めていく過程が丁寧に描写されていた点が印象的だった。ムゲンは無口で、妖精にとって過ごしやすい地である館についてすら何も語らなかったが、そこが逆に嫌な教唆を感じず、シャオヘイの保護者として、師匠として、見ていて不安にならなかった。

ムゲンがシャオヘイに言った内容のある(?)ことといえば、「その力を悪いことに使うな」「善悪の判断はできるか」「信じよう」というあのホテルの一室の話くらいだったかなと思う。ムゲンはシャオヘイの人間を嫌う気持ちも否定しなかった。ムゲンは旅の中で人間とも妖精とも触れ合う機会をつくり、シャオヘイ自身に考えさせていた。だからこそ、最後にシャオヘイがフーシーを説得しようとしたり、ムゲンと共闘するシーンに説得力があった。

 

その他

・最強無口クール系宮野真守vs己の目的のために覚悟定まってるクール系櫻井孝宏ですよ!?!?!?!?!!めちゃかっこいい

・ムゲンの、シャオヘイへの愛情がセリフや行動の端々から感じられて良かった。ムゲンは逃げ出そうとするシャオヘイをよく捕まえていたが、怪我をさせることはなかった。やさしいやん…

 

とりあえず見て損は無い。反発から始まる師弟関係、イデオロギーの対立が好きな人は見てほしい。