箱とマーマレード

うたプリファンブログです。愛と感想と考察を書きます。

いいねの数だけ好きなCPについて語る

レンマサ

 


神宮寺レンと聖川真斗が出会ったのは小学生なりたてくらいの頃。お互い巨大財閥の息子としてパーティに参加していたけど、大人たち中心の世界に退屈していました。そして2人は会うたびに会場を抜け出して遊ぶようになったんです。

お目付役の大人たちの目をかいくぐり2人で遊んだこの時のことを、真斗もレンも、楽しい思い出として記憶しています。早乙女学園の授業もさぼりがちだったレンはともかく、真面目な真斗まで、この子供らしいスリルに溢れた遊びを笑顔で振り返るんですよね。

この時期のレンと真斗にとって、この経験がどれほど大事だったか。

真斗は妹も生まれる前で、母は病気がち。財閥当主である父は非常に厳格で、心の支えは側近のじい(藤川)とピアノだったと言っています。真斗くんの「心のダム」(=真面目な彼が自身の気持ちを抑圧し周囲の期待に応えようとする時の心の壁)はこうして形成されようとしていました。そんな世界に現れた、同世代の友達。しかも会うたびに、自分の手を引いてパーティ会場を抜け出し、新しい世界を見せてくれます。真斗曰く、「レンはあまり詳しくない場所でも俺が不安にならないように振舞ってくれていた」とのこと。長男として甘えが許されなかった真斗にとって、レンは頼れる憧れのお兄ちゃんだったのです。

一方レンはこの時期かなり苦しい日々を送っていました。父親はレンに冷たく、亡くなった母親への怒りをぶつけてばかり。レンは父に認められようと必死で努力しますがそれも水の泡です。そんな時現れたのが真斗という弟分。素直な真斗は、レンが行く先についてきてくれ、レンをお兄ちゃんとして頼りにしてくれます。レンは「自分を見つめてくれる存在」をここでやっと手に入れます。

もうね〜〜書いててしんどい。この†2人だけの世界†。あまりにも美しい。お互い自分の家に閉塞感を感じていたからこそ、お互いの求めるものがお互いの求めるものと合致してしまったからこそ惹かれあったこの関係。真斗は長男として甘えの許されない環境で甘えられる兄を、レンは自分の存在が認められず愛されない環境で自分だけを見つめて追いかけてくれる弟を手に入れたんです。最高じゃないですか……。

しかしそんな2人の蜜月はある事件をきっかけに終わりを迎えます。長男である真斗は後継者として財閥代表の会議に出席するようになりました。対してレンは、財閥当主の息子とはいえ三男坊。財閥を継承する可能性は低く、その会議には呼ばれませんでした。レンは、自分が弟のように可愛がっていた真斗が自分より絶対的に格上だと思い知らされ、以降は「聖川家の」真斗に対して異常な執心と敵対心を抱くようになります。

レンちゃん……。もう涙しか出ません。「弟だと思っていたのに裏切られた」って、正直内心見下していたんだと思うんですよ。見下すという言い方は悪いかもしれないけど、自分が真斗を守るという関係だと思っていたんです。実際レンちゃんは今も時折真斗を守ろうとします(DebutユニットドラマCD、AASSL特典限界に挑戦!を参照のこと)。でも真斗は、自分が願っても手に入れられない「財閥後継者」という地位を持っていた。当時親からの愛情を受けられなかったレンにとってこれは「愛情を受ける権利」とほぼ同等に見えるものでした。だってレンはいくら努力しても、父親に認めてもらえない。そうなると生まれつきの属性に原因を帰するしかなかったのです。

以降のレンは、「聖川」真斗に勝つことに執心するようになります。早乙女学園で再会し、その意思はさらに燃え上がります。アニメ1000%真斗回ラストシーンの、「自分がちょっと気になっている女である七海春歌と懇意にする聖川真斗」を見る神宮寺レンは本当に本当に本当に名シーンだと思います。あの、「彼女を手に入れるために真斗に勝ちたい」のか「真斗に勝つために彼女を手に入れたい」のかわからない視線……。わからないけれど、レンと真斗の背景を知っていれば当然後者なのです。「そういうことか、聖川」というレンのセリフにこもった憎しみは、彼女を取られたことではなく、真斗がこんな時まで自分に優越しようとしていることに対して向けられたものでしょう。実際その次の1000%レン回では、レンは春ちゃんにちょっかいをかけにきます。わざわざ真斗の目の前で、真斗に見せつけるように。真斗から嫉妬を買いたいのです。嫉妬は、向けた者が向けられた者に劣る証拠なのは、レン自身が一番よくわかっているのです。

あーーーーーーーーーーー本当に本当に本当に最高です。有識者の皆様はこれが「こころ」チックだなとか思うと思います。そう……レンマサの関係って純粋な2人だけの関係じゃなくて、家へのしがらみや七海春歌という女性などの第三者への感情を介したものなんです。この……不器用な感じ……屈折した愛情と憎しみ、本当に公式怖いですね。マジでこれを超える関係性今のところどこにもないんです。「あいつの気を引きたい」「甘えたい」「愛されたい」そういう2人の飢えが2人の関係を繋いでいるのです。

どうしようもないこの関係ですが、レンと再会したばかりの頃の真斗は、変わり果てたかつての「お兄ちゃん」に失望したような態度を取ります。それが結局2人の関係を修復することにつながったのかなと。真斗にとって「お兄ちゃん」との経験は、放水口のなかった心のダムに穴を作ったのかなと私は思っています。だって本当に真面目で期待に応えようとする人間なら、「高校辞めてアイドルになります」なんてなかなか言えないと思うんですよ……この真斗くんの大事な時の思い切りの良さは、レンとの思い出があったからこそだろうなと考えます。

だからこそ自分に敵意を向けてくるレンが悲しい。そして結局レンに過去のしがらみを絶って今の自分の才能を見つめるよう諭し、レンは過去の呪縛から解放されるのです。それ以降はレンと真斗の関係も、何かを介した関係ではなく、現在のお互いを見つめた関係になります。レンが真斗の思い出話をからかい口調でしたり、アルバムをめくりながらうっかり「真斗」と言ってしまったりするのは本当に2人の関係が変化したんだなと思わされて泣けます。

はーーーーーーーーーーー(クソデカ嘆息)

そして現在。お互い対等な関係になったからか、よく喧嘩するようになりました。真斗からふっかけることもあります。一方、レンと真斗がにこやかに会話するシーンや、レンが真斗にいたずらをけしかけるシーン、お互いの誕生日を祝いあうシーンなどが観測されており、2人の関係は良好なのだなと思わされます。お互いの信頼がないと出来ないシーンも相変わらず観測されています。そしてやはり、真斗はレンにだけ喧嘩をふっかけるなど甘えている部分があります。レンはやはり、真斗にいつも目をかけていて危ない時には守ろうとします。2人の関係は変わったけれど、時折かつての関係が現れて2人の歴史の長さを感じさせてくれるのです。きっとこれからも2人の関係は変わっていくのでしょうが、離れることはないし、今の関係も思い出として語られる日が来るのでしょう。そんな未来まで見えるのがレンマサなのです。

 


レンマサが大好きです。

 

 

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