先日公開された、聖川真斗ソロベストアルバム『HOLY KINGHT』のジャケットビジュアルについて。
目に入った瞬間、息が詰まった。美しい。
うたプリのアイドルたちのビジュアルを倉花先生以上に美しく表現できる人はいないと思うが、まさにその期待通りの、いや期待以上の球が飛んできた。
倉花先生の素晴らしいところは、やはりビジュアル面で「本質的には今までと変わりない、でもちょっと成長した」姿をきちんと見せてくれるところだと思う。公式サイドの人間として、うたプリのアイドルたちがどういうことを考え、どういう方向に進もうとしているのかは、紺野さんや上松さんと話し合っていらっしゃるだろうが、それを絶妙なタッチで反映できるのは倉花先生の技量とセンスあってこそだと思う。
まず真っ赤な番傘、煙管、和洋折衷な衣装、そして椿と、主張の強いアイテムに囲まれてなお至高の美しさで君臨する聖川真斗に目が釘付けになった。わずかに微笑んだ表情。白い肌。きりりと締まった凛々しい目元。艶やかな髪。優しい笑みにも、いささか挑戦的な表情にも思えるそれは、全てが完璧である。
それら全てに恍惚の溜息が出た後、我々は気付くのである。青い羽織に描かれた聖川家の家紋に。
最初は驚いた。ゲームでもアニメでも、聖川真斗が取った道は「家のしがらみを捨ててアイドルの道を選ぶ」ことだったはずだ。
それが何故今、この記念すべきソロアルバムで、家紋を背負うことを選んだのか。
思い返すと、「聖川家」の重責を感じる時の真斗は苦しそうな表情ばかりだった。ゲームでもアニメでも「家かアイドルか」、つまり「責任か夢か」という重く苦しい選択を迫られた時に真斗は「聖川家」を強く意識させられていた。
真斗は本来、実家があまり嫌いではない。大好きな妹もいるし、過保護だがピアノを教えてくれた藤川もいる。亡くなってしまったが、芸事の素晴らしさを教えてくれた祖父もいた。厳格な父のことも、病気で倒れたと聞けばすぐさま駆けつける程には大切に思っている。
しかし、「聖川家の嫡男」に課せられた重責を思う時、真斗の顔は曇る。真斗の夢と、課せられた責任は両立できないと、彼も周囲も思っているからだ。元々責任感の強い性格の真斗にとっては、この重圧が本当に重たい。その責任を強く感じる時、自ら選んだアイドルという夢すら霞んでしまうほどである。
しかし、今回真斗は自らその重責の象徴たる家紋を背負うことを選んだ。
しかも、その家紋……重責の象徴を背負いながら、この顔である。微笑みながら、少し挑戦的にも見える顔。この顔からは、緊張ではなく余裕と愛情が見て取れる。
私は、聖川真斗は過去のしがらみすら、家という重責すら、自らの手中に置いたのだと感じた。そう、アイドルという夢のために家を遠ざけるのではなく、アイドルとしてより一層発展するために家と再度向き合い、さらには自らの一部として取り入れてしまったのだ。
聖川真斗がこの記念すべき節目に我々に見せてくれた姿が、我々が全く知らない姿というわけではなく、今までの経歴を含めた上での新しい姿であったこと。
それが彼の新しい一歩であり、さらなる未来を予想させること。
それが本当に嬉しい。
聖川真斗というかけがえのない存在の今後の発展にさらなる希望が膨らむ春。
こうしてまたうたプリを好きになるなぁと感じさせられます。